16 2017

きらい

やっぱりわたしはわたしがきらいです
すきになろうとしてもやっぱりむずかしい
だからきらいなことはもうあんまりかんがえないようにしようとおもいます
きらいがたくさんでどうかなりそうだったから
できるだけすきなことににげます
すきなことかんがえてるあいだは
だいきらいなわたしのこともだいきらいなこともわすれられるはずです
28 2017

2-B

片隅で拾われなかった鉛筆生まれ変わりのかわいい彼女

学校で唯一まとも黒うさぎ 盗んだ絵本歯ごたえは美味

抱きしめて バンソウコだらけクマのぬいぐるみ星間移動そうち

いつかあのピンクのくつを買ったなら給水タンクにすきっていうよ

国語のせんせ 桜の花にみとれていたら花びらになってたの

2-Bで生まれるんだってさ今夜 食べ残されたちりめん天使

黴かけのパンが入った机の子 鏡の裏の国へいくには?

ひとかけら空落ちてきて直撃し 優しいひとの顔も青色

ふわり 夜空に漂う00:00(れいじれいふん)おやすみなさいよい夢を
27 2017

ほろほろ

雪も降らない花も咲かない小さな国を あの子はあいしてるの

眩しいと消えそう 温かい血がほしいな わたしは吸血鬼です

言葉のまま消えた少女はくちづける いまは見えないけものたち

触れてしまえばきえてしまうものに触れたくてきえない触角機

暗くなり 折り紙になりきれない鶴がわたしの折り目をのばす

すべてを人のせいにして飛べばいい 鳩の形の羽そのものよ

ジムノペディだけ演奏するピアノの中へ お終いのかくれんぼ

いち、に、さん 彼とおんなじ人間の顔になるまで3秒ちょうだい

ほろほろとこぼれるひとを食べてゆく 痺れるよ舌 きみの寂しさ

きいちゃんのめはあおいビーズです わたしのゆびわはあおいビーズです
11 2017

花石

十子は、体のいろいろな所に色を塗るのがすきだ。
指のつめのひとつひとつにちがう色を塗り、頰にはほのかに桜色をのせ、
目頭には一番お気に入りのあんず色をひとすじ引く。
そのほかにも、腕の内側に空想の花を描いたり、腿の外側におまじないの紋様を描いたりする。
十子は、鏡の前でそんな自分の体を見るのが好きだけれど、他人にそれを見せたことは一切ない。
十子を一眼みると、みんな体が白い石に変わってしまうから。
梅が咲いても桜が咲いても、十子は暗くてじめじめした木造の小屋にいて、
十子にとっての光は、窓の隙間から見えるお月様だけだった。
世界にある光は、お月様だけだと思っていた。

ある、お月様の明るい晩、小屋の窓辺に小さな鳥がとまった。
鳥の翼の先は、ほのかに水色がかっていて優しい色合いの美しい鳥だった。
十子は、小屋の暗闇の中から、鳥に見惚れた。
美しくて優しげな鳥のもっと近くへ、と感じた。
そうして十子が暗闇から一歩出た瞬間、鳥は、十子をみとめた。
鳥は一度びくりとふるえたと思うと、一瞬にして真っ白になった。
十子は暗闇の中に身を引いたがその時にはもう、
鳥は十子の足元に小さな白い石になって転がっていた。

十子は石になった鳥に指を触れた。
そして手に取ると、白い石の表面に筆をのせた。
鳥の翼の先の、優しい水色を思い出し、石になった鳥の表面に、色をのせてゆく。
美しい鳥にきっと似合うだろう、小さな野花。すみれ。たんぽぽ。シロツメグサ。ハルジオン。ひなげし。
そうして、鳥の体中に鮮やかに花を描いた。
鳥は、たくさんの花に包まれると、新しい小さな命のように見えた。

美しい鳥を両手のひらで優しく包む。
十子は鳥を抱き、小屋の暗闇の隅で寝そべり丸くなった。
そして、静かに瞼を閉じた。




10 2017

うちうじんさん へ

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うちうじんさん へ


うちうじんさん、こんにちは。
あなたはにんじんきらいなのでしょう。ぼくもです。

むかし、てれびでうちうじんさんのことを
みたときは、とてもこわかった。
きみはぎんいろで、ひとにきんぞくをうめこんだりする
おっかないいきものでした。
でもほんとうの、うちうじんさんは
ふあふあで、やさしいしずかないきものでしたね。

でも。
あなたは、ほかのひとからみたら、
ふつうのにんげんのすがたにみえるのですね。
ぼくには、あなたはふあふあのしろいけにおおわれたすがたにみえます。
ほんとうに、そうです。
どうか、ぼくがほかのひととはちがうことをしんじてください。

うちうじんさん、あなたには
ぼくはどんなふうにみえますか。
ひとのすがたに、みえますか。
でもぼくは、
ぼくも、
うちうじんだったのです。
ぼくは、おおきくなってから
それをしりました。

ぼくは、がっこうのおくじょうでだけ
ほんとうのすがたにもどります。
ぼくのすがたは
ひとでいるときよりも
みにくいかもうつくしいかもしれません。
おなじうちうじんでも、あなたのようなうつくしいうちうじんかはわかりません。

あなたはいつか、こきょうのほしを
みつけられたらいいですね。
きっとあなたのように、しろくてうつくしいほしだとおもいます。

ぼくは、よくおくじょうにいます。
よかったら、ほうかごおはなししたいです。


U
より