02 2017

触覚記

白い蛾を甘く煮ている春に桃色の触覚はえますように

触覚に知らない音が聞こえてた目に見えないのに触れてるように

枕の下海の下には蒼い町蒼い屋根の下眠るぼく

夜更けまで公園で穴掘ってると土の底から懐かしい音

蛍光絵の具たんぽぽに塗り歩く指ではじけばコキンと響く
31 2017

ふうわり

まちがいもせいかいもない人といて言葉は雲とふうわり浮かぶ

ひとつきり光灯っている家の光残して夜暮れてゆく

みずうみのほとりでひとり眠るとき静かな森に番人おらず

たわいない絵本とともに並べられまぬけなくまとあいされている

人間を信じ切ってる猫といて無防備なまま目標たてる



30 2017

額縁の中

泣き虫のきみの部屋には今もなお貼り付けてある一羽の蝶が

優しげに笑う彼女の足元に引き抜かれゆく春の花々

真剣な顔で諭している教師の唇だけ飼う想像す

額縁の中の少女に銃あてる大きな瞳しだいに潤む

実験用ハツカネズミを妻としてあと六日間は可愛がる

似合わない眼鏡かけている人にもっと似合わない眼鏡を渡す

指先でほころぶ白いブラウス愛でる少女で老婆は恋人
16 2017

きらい

やっぱりわたしはわたしがきらいです
すきになろうとしてもやっぱりむずかしい
だからきらいなことはもうあんまりかんがえないようにしようとおもいます
きらいがたくさんでどうかなりそうだったから
できるだけすきなことににげます
すきなことかんがえてるあいだは
だいきらいなわたしのこともだいきらいなこともわすれられるはずです
28 2017

2-B

片隅で拾われなかった鉛筆生まれ変わりのかわいい彼女

学校で唯一まとも黒うさぎ 盗んだ絵本歯ごたえは美味

抱きしめて バンソウコだらけクマのぬいぐるみ星間移動そうち

いつかあのピンクのくつを買ったなら給水タンクにすきっていうよ

国語のせんせ 桜の花にみとれていたら花びらになってたの

2-Bで生まれるんだってさ今夜 食べ残されたちりめん天使

黴かけのパンが入った机の子 鏡の裏の国へいくには?

ひとかけら空落ちてきて直撃し 優しいひとの顔も青色

ふわり 夜空に漂う00:00(れいじれいふん)おやすみなさいよい夢を