屋根裏の羊

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category: 物語  1/5

花石

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十子は、体のいろいろな所に色を塗るのがすきだ。指のつめのひとつひとつにちがう色を塗り、頰にはほのかに桜色をのせ、目頭には一番お気に入りのあんず色をひとすじ引く。そのほかにも、腕の内側に空想の花を描いたり、腿の外側におまじないの紋様を描いたりする。十子は、鏡の前でそんな自分の体を見るのが好きだけれど、他人にそれを見せたことは一切ない。十子を一眼みると、みんな体が白い石に変わってしまうから。梅が咲いて...

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リリとカラス

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その日の朝、リリがスクールバスに乗ると、いつも座っている一番後ろの席が空いていなかった。ヘアアクセサリーをたくさんつけたブロンドの女の子たちが座っていたから、リリは前の方の席へ座った。やがて、何個めかの駅で、あまりにも太っていることで有名な男の子が乗ってきた。後ろで、はやし立てるような声や口笛が鳴る。男の子は、なにも言わないで座っているみたいだ。リリには、だんだんはやし立てる声や口笛が増えてくるよ...

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雨鬼

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座布団にはすわらないで、ずっと隅の方に立っているような、鬼でした。そんな鬼と、わたしはすこしのあいだ、散歩に出かけたり目があったらなんとなくわらいあったりするような、仲でした。鬼は、わらうのがへたでした。鬼がむりにわらうと、なんだかこちらまでちぐはぐな気持ちになりました。でも、わたしはそんな笑顔がわりあいすきでいました。わらうのがうまいひとを、わたしは信用しないのです。鬼は、ふいに、わたしの前から...

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paperhouse

さんにんはくらしていますみんな 足が長く目が大きいですでも足は速くないし よくものを見間違います家の中は水玉模様でうめつくされています草間彌生のことはしっていますが 意識しているわけではないそうです性格はちがいますが みんな なかよしですアカは、オセロゲームで負けた事がありません 本棚の本を五十音順にならべています チェス駒を枕の周りにならべて眠りますキイは、だれよりもたくさん靴下を持っていて雑誌の44ペ...

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あるびの

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森のふかいふかい場所、枯葉に隠れた地中の穴の中に、ぼくは棲んでいる。穴の中は、住みかというより、ぼくの宝の隠し場所。人間のおんなのこの服が穴から溢れださんばかりに詰まっている。ぼくは、その服の上で寝起きし、たまに、その服を着て、暮らしている。月のない夜には、服の採集へゆき、月のある夜には、お洒落をして森の中を散歩した。白いぶらうす一枚で、わんぴーすになった。こうしておんなのこの服を着ていると、ぼく...

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