屋根裏の羊

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archive: 2016年06月  1/1

リリとカラス

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その日の朝、リリがスクールバスに乗ると、いつも座っている一番後ろの席が空いていなかった。ヘアアクセサリーをたくさんつけたブロンドの女の子たちが座っていたから、リリは前の方の席へ座った。やがて、何個めかの駅で、あまりにも太っていることで有名な男の子が乗ってきた。後ろで、はやし立てるような声や口笛が鳴る。男の子は、なにも言わないで座っているみたいだ。リリには、だんだんはやし立てる声や口笛が増えてくるよ...

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コココ

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二年生(きみの手にふれると、いたいなあ。)コココはほろりと涙をこぼした。コココは、とてもからだがもろいので、何かに触れるだけでいたいんだ。ぼくはコココから離れた。一しゅんだけ、コココはさみしそうな顔をした。一しゅんだったから、ぼくは見なかったフリ、した。(ぼく、かえるよ。)なんだかこわくなったから。(うん。)コココはゆっくりと、口元をにっこりさせた。そのしぐさは、あまりにゆっくりな笑顔だったからぼ...

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「ホラ、」ズーはトトの手をつかむと、手のひらに冷たい何かを握らせた。手のひらを開くと、青く透きとおった小さな欠片があった。「星の欠片だね」そう言ってトトは、青い欠片を街灯の光に透かす。ズーは、内心苦笑しながら、そんなわけないだろと思った。でも、なんにも言わずに、トトをみていた。このガラクタだらけの街の暗闇に、どこか遠い星の欠片があると思うのは悪くなかった。トトは息をするように嘘をつく。トトは嘘を嘘...

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ゆめ

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数日のフワフワはとけて、また、飼ってた兎の夢を見た。何度も夢に見るたびに、夢の中でまだ生きてることにびっくりして、泣いて、たくさんなでなでをする。夢の中では、いろんなことよく思い出せる。動物なら匂いや質感や暖かさ、人間なら、その人の姿や声や雰囲気など‥。 すっかり思い出した気分になる。何も変わってないや、って思う。兎がほんとにいる、って信じられないような嬉しさを確認して、目覚めた時は余計に悲しい。...

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6.18

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でもまた着地した。こっちのほうがたぶんいつもの。...

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そりの日

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今日は何ヶ月かぶりの「不思議な気持ち」だった。特に良い事があったわけでもないのに突然、気分が完全にクリアで舞い上がっている感じだと気付いた。いつもの景色がちがってみえた。雨降りの街の色がとても綺麗にみえた。何を見ても新しい発見があるようだった。こんなところにこれがあったんだ、の連続だった。毎日見てるものも何か新しいものに見えた。知らない町に来たときに少し似ていた。テンションの高揚に任せてアイデアが...

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永久冬眠

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こわれたきみを抱いて寝た 雨つづき部屋は海まで流れていった鉄網に結ばれたリボン染め直す 朝日はいつも定刻通り教室の隅のあの子は放課後に永久冬眠はいります廃ビルに住まうカラスは海の匂い 硝子の破片覗いて暮らす毛皮着た姿で会いに来ておくれ 嘘つきは世界のはじまり片割れの双子の夢を見た日には 合言葉かきつけておく枕満月の形のレコードかけている 月に戻れない教師と兎パーキングエリアにいた女の子 一度に一つしか信...

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山崎さん

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折り目のきちんとついたチノパン、一番上までボタンをしめたシャツ、山崎さんは、いつもきちんとした格好をしていました。それは、山崎さんが、森の中で発見された時も同じでした。山崎さんは、爽やかな笑顔を浮かべながら丁寧にお辞儀をして、皆にさようならを言っていたのだと、僕はあとから気付いたのです。会社にはきちんと辞表を出し、友達には旅行へ行くと伝え、会員になっているものはすべて解約しており、両親には手紙と贈...

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under the grave

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雨鬼

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座布団にはすわらないで、ずっと隅の方に立っているような、鬼でした。そんな鬼と、わたしはすこしのあいだ、散歩に出かけたり目があったらなんとなくわらいあったりするような、仲でした。鬼は、わらうのがへたでした。鬼がむりにわらうと、なんだかこちらまでちぐはぐな気持ちになりました。でも、わたしはそんな笑顔がわりあいすきでいました。わらうのがうまいひとを、わたしは信用しないのです。鬼は、ふいに、わたしの前から...

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